大判例

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東京高等裁判所 昭和31年(ラ)466号 決定

(一) 抗告人は「前記債務名義に基ずく強制執行を本案上告事件の判決あるまで停止する」旨の決定を求めているのであつて、右は民事訴訟法(以下単に民訴法と略称)第五百四十七条第二項に基ずく申立であることは明瞭であり、前示本案訴訟につき上告の適否の審査権限を有し、一件記録がまだ上告審たる当裁判所に送付されずに、現に存在する原裁判所は受訴裁判所として右申請事件の管轄権あることも多言を要しない。

(二) 民訴法第五百四十七条第二項による強制執行停止決定は本案判決をなすまでの仮の処分であるから、この終局判決があれば当然効力を失うのであるが、(イ)異議を認容する判決をするときは、この判決自体に仮執行の宣言が附されない限り、その確定を俟たぬと執行の終局的取消を求め得ない(民訴法第五五〇条第一号、第五五一条参照)から、更にこれまでの仮の処分を命じ若しくは持続せしめる必要があるので、本案判決中で改めて第五百四十七条第二項に準じて仮の処分をなすか、または既に前に発した停止命令をそのまま認可し、或はこれを変更する裁判を掲ぐべきものとし(ロ)異議の訴を却下し若しくは理由なしとして棄却するときは仮の処分の必要なく執行の続行を妨げぬのが原則であるが、執行機関に執行停止の障礙の除去されたことを明白にするために、既になした停止決定を取消す旨形式上宣言することができるものとし、右両者の場合を一括して規定したのが民訴法第五百四十八条第一項の法意とするところである。従つて後者の(ロ)に該当する本件の場合にあつては、さきになされた停止決定は本案判決中の取消宣言によつて始めて失効するものでないと解すべきで、この点に関する原決定の説示は十分首肯し得るところである。のみならず元来前記第五百四十八条第一項の裁判は、職権を以て仮執行の宣言を附すべきものとし(同条第二項)、判決中右裁判(右第一、二項の裁判を指称することにつき昭和十年十月一日言渡大審院第二民事部決定参照)に対しては不服を申立て得ない(同条第三項)のであるから、たとい本案判決に対し上告の提起あるも、この部分(仮執行附強制執行停止決定の取消宣言)については上告の対象となり得ず、従つて民訴法第五百十一条を適用して前記仮執行を停止する余地なく、この場合は矢張り、前段説示にあるとおり上告の提起を前提として民訴法第五百四十七条第二項により、改めて停止決定を求むべきである。よつて本件申請を第五百十一条によるものとしても許容し得る限りでない。

(齊藤 坂本 小沢)

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